医療業界の全体最適化に取り組む、伴走者としてのメディカル事業部

 2009年に設立したメディカル事業部では、看護師と医療機関・介護施設などの法人とのマッチングサポートを行っています。事業を通じて目指すものは、「医療・介護の全体最適化」。そもそも何故レバレジーズが医療業界に挑むのか、事業部長の森口にインタビューしました。

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インタビューした人

森口 (Moriguchi)
メディカル事業部 部長 

プロフィール

 中堅中小企業向けのコンサルティング会社を経て、2011年10月に大阪支店の立ち上げからレバレジーズ株式会社に入社。現在は、全国に拠点展開しているメディカル事業部の統括を行っている。

医療業界の歪に挑む、メディカル事業部

メディカル事業部ついて教えてください。

 今メインで行っている事業は、看護師の方を病院や介護施設などに紹介する事業です。レバレジーズが運営している「看護のお仕事」という看護師向けの転職サイトにご登録いただいた求職者と、クリニックや病院、介護施設、訪問看護ステーションなどの法人とのマッチングサポートサービスを行っています。

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レバレジーズが医療系の事業をやっているのは、どういった背景からなのでしょうか。

 これから日本は「団塊の世代」と呼ばれる人たちがすべて75歳以上の後期高齢者となり、超高齢少子多死時代を迎えます。必然的に医療費も高騰していき、適切な形で医療費が支払われるように最適化しないと日本の未来はない、つまり私たち国民に適切な医療が提供されない状況がやってきます。

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 ここに対して社会問題を解決する、中長期的な事業をやろうとなったのが最初ですね。ちょうど事業検討をしていた2006年、診療報酬の改定があって「7:1」の看護基準が導入されたタイミングでもありました。

 診療報酬というのは「医療保険から医療機関に支払われる治療費」で、その報酬の核になる「入院基本料」は病院に在籍している看護師の人数により変動します。要は、看護師1人に対して何人の患者を看るか、というもので、「7:1」看護基準は、看護師1人で患者7人看ましょうというものです。当時は病院経営の1つの指標として看護師の数が重要視されていたため、結果的に世の中の看護師不足に拍車をかけることになりました。また世界中でみてもこの基準は低くニーズに対して需要が追いついていないことがわかります。こういった社会問題から「看護のお仕事」はスタートすることになりました。

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その中で医療領域にどのように関わっているのでしょうか。

 「看護師の働く選択肢の幅を広げる」ことで、医療領域に貢献できると考えています。診療報酬が適切な形で配分されていないという話は前述しましたが、実は今、それが見直されてきているんです。看護師の人数に加え、患者の重症度合いや診療実績なども加味されるようになり、適切な報酬評価がされるよう改善されてきています。

 では、そこで実際に働く看護師についてはどうでしょうか。国としては、病院で患者を診る割合を減らして、医療費が抑えられる在宅医療の比率を増やす方向でいます。当然ながら在宅医療における看護師のニーズも増えていますが、事実、訪問看護を希望する看護師の割合は非常に少ないんです。理由は2つです。

 1つは、イメージ。看護師って病院で働くイメージが強いと思うんですが、学校卒業後は病院に就職するケースが一般的です。もう1つは、訪問看護のハードルの高さ。訪問看護は自分ひとりで患者を看るので、高技術が必要かつ、患者とのコミュニケーションを一人で完結させる必要があります。これらのハードルから、一歩踏み出す勇気が持てない看護師が多いのが現状です。ですが、実際に在宅医療看護師として働いている人に話を聞くと「在宅医療の現場の方が、より看護師としてのやりがいを感じる」とおっしゃる方もいらっしゃいます。訪問看護の方がニーズにマッチする方も世の中にはいらっしゃることを考えると、選択肢として存在しなかったものを提供することで、その一歩を踏み出す後押しをし、仕事選びの幅を広げるお手伝いができると考えています。

 世の中のニーズが変わってきているので、今まで以上に看護師側も仕事選びをする必要があると思うんです。そこの人材配置のバランスを整えていきたいと思っています。

看護師を取り巻くキャリア問題

看護師を増やす方向で、今どのような問題があるのでしょうか。

 一般的に言われるのが潜在看護師と言われる方々で、資格はあるけど結婚や出産など何かしらの理由で退職をされた方々です。その方達の職場復帰を促す支援も重要なミッションです。もともとは看護師としての経験がある方なので、その力を社会に還元していくことが重要です。でも家庭を持ちながら日勤・夜勤をすることはなかなか難しい。体力的にもそうですが、患者とその家族との関係構築、さらに命を扱う仕事なので、そこでのストレスなど精神的にも負荷がかかりすぎる点で、潜在看護師の職場復帰のハードルは低くないのが現状です。

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働きたいけれど、結果的に潜在看護師になってしまうケースもあるのでしょうか。

 はい。働く必要がなく、働いていないっていう方もいらっしゃいますが、働きたいけれど、条件面から働き先がないケースも多々あります。例えば、お子さんがいて昼間しか働けない場合は一気に求人数が絞られてしまいます。また「結婚して一度病院を退職したが、復帰したい。けれど、独身の時の働き方はできない」と思っている方もいます。勤務形態も比較的ゆったりな職場からハードなところまで様々なのですが、看護師で複数の病院に勤めることは少なく、働き先に関する情報をもっていないケースも結構多いんです。基本的に看護学校関係者の勧めで、実際実習に行き、そのまま就職することが多いので、キャリア選択の段階で僕たちが介在することで選択肢の幅を広げられたらと考えています。

介在価値を高めるために、取り組んでいることなどがあれば教えてください。

 単純に求人のご紹介をするだけでなく、看護師の働き方からライフプランに関する相談まで、相手に寄り添った関係を築いていきたいと思っています。転職サービスの他にも、看護師が抱える悩みを相談できるプラットフォーム「ハテナース」を提供しています。

 また「ナースときどき女子」というサービスでは、看護師の生活に役立つ情報の発信やリアルイベントの開催をしています。先日も、以前は看護師として働いていたけど今は専業主婦として子育てをしている方や、出産後の職場復帰を模索している方向けにイベントを実施し、出産後に看護師としての復職事例のある企業に話をしてもらったりとママさん同士の交流会などを行いました。こういった取り組みを通じて、看護師の人生に寄り添ったサービスを提供していきたいです。現状、育児や復職など各ライフステージに合わせたサービスが世の中に少ないので、看護師のライフステージに合わせてサービスを拡充させていきたいと考えています。

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 僕自身も、サービスを通じて「働くことは面白いと思える世の中を創りたい」と思っているんです。看護師ご本人が気づいていない適切なキャリアを提案することに、自分たちの介在価値があると思っています。そのために僕らは誠実であるべきだし、自分の利益だけのために部分最適をとろうとするのではなく、全体最適としてどうしていくのか、にしっかり向き合っていきたいと思っています。

伴走者として、医療の最適化に取り組む

その中で、メディカル事業部ではどんなことを大事にしてサービスを提供していますか。

 「顧客が感動する体験」を一つでも多く提供しようって話をメンバーによくしています。ここでいう顧客は、看護師と事業所にあたります。「丁寧ですね」「気が利きますね」とか「こんなに情報を提供してもらえるとは思わなかった」とか、小さくても顧客の期待を越えて、相手の感情を満たし続けるような仕事をしていきたいと思っています。実際に事業部でも、下記ミッションとビジョンを掲げています。

ミッション:医療・福祉に関わる全ての人へ 期待を超える安心と出会いを提供する
ビジョン:『はたらく』のベストパートナー

 顧客の感動体験を積み重ねることで、選ばれ続けるサービスでありたいですし、周りに紹介したいと思えるサービスに育てていきたいです。その先のプラスアルファとして「一番のパートナー」と思ってもらえる関係性を顧客と築いていきたいです。病院などの事業所からは、何かあったらレバレジーズに相談しようって思ってもらえるように。同様に求職者にも、困ったときには相談したいと思ってもらえるパートナーになれるように。社員一人ひとりが意識して、目指していきます。

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パートナー関係にこだわっている理由はありますか。

 最終的には伴走できるような関係性が1番いいと思っているんです。上でもなく下でもなく、良いものは良い、間違ってるなら間違ってる、と相手に言えるような関係性。迎合するわけでも、偉そうにするわけでもなく。相手のことを相手以上に考えてその相手に伴走してより良い価値を生み出していける関係性でありたいですし、お互いを尊重し合えるパートナー関係として付き合っていける信頼関係を作り上げていきたいと思います。

今後、事業としてどのようにこの医療領域に関わっていきたいと考えていますか。

 「医療・介護の全体最適化」を行っていきたいです。
 現在の医療システムにおける問題の一つは、部分的な最適化が行われていることだと考えています。社会全体で見た時に、将来適切な医療が受けられないかもしれないってなったら、「医療費を削減しよう」という発想になりますよね。でもそれは部分最適でしかないので、結果として国の財政も圧迫していくし、人の配置も最適配置にならない。「医療費を削減すること」が世間の固定概念となり、それを覆す事もなかなか難しい状況になります。

 こういった部分最適化については、医療従事者不足についても起きているんです。例えば、医療従事者不足で日本が破綻するのであれば、海外から代替人材を受け入れる場合もあると思います。しかし中には、海外から人が入りづらい方向に持っていって、供給均衡にならない状態を作ることで、権利やポジションを守ろうとするところも業界的に一部あって。もちろん、提供する医療の質を考えると、質を担保するのは大事です。ですが同時に、海外人材受け入れの柔軟度合いを増やしていけるような支援も強めていかないと、供給不足は続く一方。それが最終的に、看護師など医療従事者の労働環境を悪くする形になるという状況が一部分では起きていると感じています。

 実際に現場で頑張って働いている人たちは置いてけぼりになっているんです。結果的に中で働いている人達は人手が足りなくてしんどくなっていく…。別に誰も悪いことをしようとはしていなくて、良くしようとしているんです。だからこそ、その部分的に良くしようとしてしまっているところに、全体最適の視点を入れた状態にしていく事例をつくるのが、僕らの役割だと感じています。医療サービスを提供する医療従事者の方々が価値を最大化できるような形へ、パートナーとして伴走していきたいです。