大手SIerのプロジェクトマネージャーから、レバレジーズへ

レバレジーズ技術顧問が考えるこれからのエンジニア像

大手SIerで15年間勤務したのち、2018年にレバレジーズに参画した森實さん。現在は、レバレジーズ株式会社技術顧問兼レバテック株式会社CTOとしてエンジニア組織を牽引しています。そんなベテランキャリアを持つ森實さんに、これからのエンジニア像についてあれこれ聞きました。(聞き手:名井)

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プロフィール

森實(Morizane)
メディアシステム部 テクノロジーセンター長

大手SIerにて15年間過ごした後、2018年6月にレバレジーズに参画。現在はレバレジーズグループ全体のエンジニア組織を牽引しながら、自らもコードを書くエンジニアとして活躍している。また、日本XPユーザグループのスタッフ、BIT VALLEY -INSIDE-を主宰する傍ら、認定スクラムプロフェッショナルとして様々なイベントでの登壇実績も持つ。プライベートでは子どもとキャンプや登山、モータースポーツ観戦などに出かけるアクティブ派。

大手SIer15年というキャリアから、レバレジーズへ

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現在の仕事内容を教えてください。

 エンジニアとして、レバテックキャリアのオウンドメディアを担当しています。このチームはものすごくメンバーの距離が近くて、ディレクター、デザイナー、エンジニア、マーケターの「全員でサービス創りをしよう」というマインドをもっている素敵なチームなんです。

 他にもレバレジーズに入社以来、いろいろなことに手を挙げてきました。その結果、他プロジェクトのコーチやエンジニアの採用、内定者向け研修、社内勉強会の企画、未経験エンジニアの育成、自社メディアコンテンツの査読、講演の登壇などに携わり、様々な活動をする毎日を送っています。

大手企業で15年間働かれていたそうですね。レバレジーズの中では珍しいキャリアだと思いますが、これまでのキャリアを教えてください。

 2018年6月の入社まで、日系の大手ITメーカーとシンクタンクで15年以上キャリアを積み重ねてきましたので、いわゆるベンチャー企業への就職は初めてになります。もともと私は文系の人間でして、エンジニアという職業には全く縁もゆかりもありませんでした。しかし、就職活動を進める中で「1人の力を1ではなく10にも100にも変えていける力」すなわち世の中を動かしていける力を持っている企業・職種での就職を考えました。そうしてIT系の企業・エンジニアだという結論に至り、新卒では大手ITメーカーに就職しました。

 1社目では技術系の支援部隊として業務に携わる中で、自分で手を動かすことに楽しみややりがいを感じつつも、同時に「メーカー」という枠に悩んだ時期でもありました。良くも悪くもメーカーは、自社製品を導入いただけないとクライアントの悩みには応えることが難しい場合も多々あったんですよ。そんなところに葛藤を感じ「メーカー」縛りのない開発部隊を持っているシンクタンクへ転職をしました。

 2社目では12年間お世話になりました。保険・金融系のクライアントを中心に複数のプロジェクトを同時に走らせ、ポジション的にもメンバーからマネージャーまで一通り経験させていただきました。プロジェクトマネージャーとしては「組織をどう大きくし、チームを組成させていくか」試行錯誤の日々でした。結果的に実績が評価され、社内外でのプロジェクトチームのマネジメントやチームビルディングの講演、コンサルティング業務なども並行して行いました。

レバレジーズではどんなことを実現させるために参画されたのでしょうか。

 もともと転職願望が強くあったわけではなく、外部のコミュニティやカンファレンスなどで登壇を続けていくうちに、様々な企業から「うちに来ないか」とお声がけいただくようになり、その1つがレバレジーズでした。既に数社からオファーをいただいていましたが、レバレジーズは一次面接から内定出しまで一手一手が異常に早かったんですよ(笑)

 ただ最終的な決め手は「この人たちと一緒に働きたい」と思わせる人の良さでした。個人的には「何」の仕事をするかも大事ですが、最終的には「誰」とやるかが1番大事だと思っていて、レバレジーズの社員は誰に会っても、総じて皆とても明るく、自分たちの仕事に自信を持って取り組んでいる印象を受けました。また、抱えている課題についても踏み込んでお話いただけて、ものによってはその場で相談いただいたり、すごく誠実で前向きな印象を持ちました。

 これまでの環境とはまったく異なり、平均年齢26歳という非常に若い組織で、僕の年齢だと上から10本の指に入ってしまいます。ゆえに、自分がグイグイ引っ張っていくというより、若い人たちが成長を感じながらステージアップをしていくためのサポートをしていきたいですし、結果としてそれが会社の成長や原動力に繋がるのであれば、僕はそこに貢献していきたいと強く思い、入社を決意しました。

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これからのエンジニアに求められる素質

実際に入社されて半年程経ちますが、仕事のやりがいを教えてください。

 エンジニア以外のメンバーとも積極的にコミュニケートする時間を持てていることは自分にとって非常に刺激的ですし、強い武器を手に入れられている気がしています。

 前述したように、この半年間エンジニアとしてだけではなく、強い組織を作るためにできることは何でもやりました。採用活動、社内向け勉強会、制度設計、1on1などですね。これまでの経験から、どんな仕事においても人とのネットワークは非常に大事だと思っています。

 課題でいうと、ここからさらに大きく強いエンジニア組織を作ろうとすると、その壁は大きいと感じています。サービス創りにおいて、サービス自体のファン作りはもちろん大事ですが、僕たちと一緒に「サービスを創りたい」と思ってくれる仲間を増やすことも必要です。そのためのサービスの付加価値も作っていかなければならないですし、僕たちの考え方に共感してくれるエンジニアさんにもっと出会っていきたいです。

これからエンジニアにはどんなことが求められると森實さんはお考えでしょうか。

 先程からエンジニアという言葉を何度も使っていますが、エンジニアという言葉の定義自体に限界がでてきていると感じています。逆に言うとエンジニアという言葉があまりにも今裾野が広くて、いわゆる工業系の機械を作る人も、プログラムを書く人も、機械学習をしてる人も、みんなエンジニアという括りですよね。

 その中で、自分が何かの領域で技術を突き詰めて「何かひとつでも他者を超えられるものを持つこと」が大事だと思っています。なぜなら、それくらい自分が真剣に取り組んだ経験というのは、必ず今後の成長の糧として自分を支えてくれるからです。私自身、文系学部卒でエンジニアになったため、新卒からの3年間は死ぬ気でJavaと向き合いました。プログラムとは、パターンとは、シンプルな実装とは、などゼロ知識から全力で取り組んだからこそ、その後に他の言語に向き合ってもそれほど苦労することはなかったように思います。実際、レバレジーズに入った37歳にして初めてPHPを書きましたし。

 ゆえに、僕は中途採用面接の時に必ず「あなたにとって誰にも負けないものは何ですか?」と質問をするようにしています。自信を持ってこの質問に答えられるということは、何かをやり遂げた経験もあるはず。業務のど真ん中でなくても本当に何でも良いので、そういうものを1つでも持っているエンジニアが生き残っていけると思います。

誰にも負けないものを身につけるためには、どのようなことが必要でしょうか。

 2つあって、1つは「常に新しい情報にアンテナを張ること」です。今の時代はインターネットの発展により様々なコミュニティや活動を行っている団体に接点を持つことができるので、その輪の中に積極的に入って、バイアスのかかっていない生の情報を吸収する癖をつけていくと良いと思います。時代が物凄い勢いで変化する中、読書やネットだけでの情報収集には限界があります。SNSで情報収集するにしても、自分がフォローしている人たちは割と自分と似た属性の人が多かったりするので、どうしても情報が偏り、苦手な情報も入って来づらいんですよね。だからこそ、苦手な領域や学びが得られる場所に自分の身を置いていくことが大切だと思います。そういう意味では、レバレジーズはヒカラボMANABIYAなど多くの勉強会を開催しているので、この機会を上手く活用してもらえたら良いなと思います。

 もう1つは、自分が得た知見や考え方に対して「他者からフィードバックをもらうこと」です。これはエンジニアに限った話ではないですが、なかなか自身自身を客観的に見ることは難しいと思うんです。自分の中にある知見や考えに対して他者からのフィードバックをもらって、内省することがとても重要だと考えています。カンファレンスなどに行くと、すごい肩書の人がたくさんいて素晴らしい話をしてくれますが、フィードバックをもらえる場がすごい肩書の人のためだけにあるのではもったいないですよね。だからこそ、若い人ほど自分の感じたこと、経験したこと、学んだこと、なんでもいいのでプレゼンスを発揮して他者のフィードバックを貪欲に求めてもらいたいと思います。僕がBIT VALLEY -INSIDE-を立ち上げた理由の一つも、こういった場の提供がしたかったんです。

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「ヒーロー」を変身させ、組織を強くする

森實さんのこれからの目標を教えてください。

 これまでのレバレジーズの急成長は、たくさんの「ヒーロー」たちの活躍によって支えられてきました。私が考える強い組織は、この若き「ヒーロー」たちが「リーダー」へと変身していくことで生まれてくるものだと考えています。「ヒーロー」は自分自身で活躍する人たちで、「リーダー」は自分も活躍するし他者も活躍させることができる人たちです。「ヒーロー」に代わりはいないですが、「リーダー」は次世代を育てて交代できる人。リーダーシップってそういうことだと僕は認識をしています。

 現在のレバレジーズは、エンジニア組織、マーケティング組織という単位では大分成熟した組織になってきているので、これからはそれぞれの組織にいる「ヒーロー」たちを「リーダー」に育てあげ、さらに組織にいる社員一人ひとりが「リーダー」であるという意識を持てるような風土を根付かせていきたいですね。

 そしてなにより、社員が仕事での成長を通じて自分のクオリティ・オブ・ライフを高めることができる会社にしていきたいと思います。

最後に、どんな人と仕事をしていきたいですか。

 レバレジーズには、理念の根底にある「社会の負債を解決し、関係者全員の幸福を追求する」という考え方が強く根付いています。技術ドリブンではなく、真に解決したい課題から仮説を立ててサービスを企画していくので、世の中に本当に必要なモノを本当に必要としている人に届けることができる環境だと思います。その中でレバレジーズのエンジニアに求められるものは次の3つです。

1, コミュニケーションを積極的に取るために行動できる人
2, 「エンジニアがやるのはここまで」と線を引かず、広くサービスにコミットできる人
3, 勤勉な人

 技術もスキルも、所詮は手段であってツールにすぎません。そういう意味では、エンジニアだけでなくて、マーケターもデザイナーも、「モノを創る」とか「自分の役割を全うすればいい」という視点だけではなく、仕事の本質的な価値をきちんと考えて、総合的な視点で社会にどんな影響を与えることができるかの前提に立って、サービス創りをしています。エンジニアもチームの一員として、一人ひとりが「ディレクターである」という意識をもってサービス創りをしているので、エンジニアとしての幅を大きく広げられると思います。実は、そんな風にサービス創りの上流から携われることこそがエンジニア冥利に尽きるのではないかと思っています。

 カイゼン・ジャーニーという本の中に「あなたは何をしている人なんですか?」というフレーズが出てきますが、レバレジーズの理念のもと、この問いを一緒に考え、一緒に答えてくれる人と仕事をしたいですね。