自立する若者を増やし、「自らの人生を切り拓く力を」

トップキャリアアドバイザーが考える、若年層就職支援のあり方とは

 今回のインタビュイーは、自動車業界で販売営業・人事職を経験した後、レバレジーズに転職しキャリアアドバイザーとして活躍している多田さん。入社後は、トップアドバイザーとして若年層向けの就職支援に力を入れ、現在は事業の拡大を目指し、拠点拡大や若手教育に尽力している。若者の将来の選択肢を広げたいと事業創りに向き合う彼に話を聞きました。(聞き手:名井)

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プロフィール

多田(Tada)
ヒューマンキャピタル事業部 池袋支店長

2016年中途入社。大学卒業後は自動車業界の小売店に新卒入社し、自動車の販売職として従事。3年目から人事に異動し、採用業務全般を行う。その後レバレジーズに転職。入社後は、若年層向け就職支援サービス「ハタラクティブ」のキャリアアドバイザーに従事し、わずか入社半年でリーダーに昇格。プレイヤーとしてもギネス記録を樹立し、全社総会でベストセールスを受賞。2017年8月から池袋支店の立ち上げを行い、全社総会でベストチームにもノミネートされ、活躍の領域を広げている。現在一児の父で、最近の楽しみは愛娘と遊ぶこと。

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異業種から転職、若者の人生の軌道修正を

採用の仕事をきっかけに転職をされたと聞きましたが、転職の背景を教えてください。

 前職は、新卒で自動車業界の小売店に入社し、店舗で販売の仕事をしていました。3年目から人事の仕事にも関わるようになり、途中から人事部に異動し採用業務全般を行っていましたが、6年目に入ったタイミングでレバレジーズに転職してきました。

 採用の仕事は、会社として重要な仕事です。ただ、会社の基準とマッチしない人は不合格として、お見送りすることになり、入社してもらうことができません。そこに対するジレンマをずっと抱えていました。なぜかというと、物事をもう少し俯瞰的に見て会社の採用基準から外して向き合ってみると、その人の良いところはたくさんあるんですよ。しかし人事という立場にいる以上、不合格になった人たちに対して自分は何もすることがもできない。そのタイミングで感じた自分にとって価値がある仕事は「目の前にいる人たちの選択肢を増やすことではないか」と思うようになり、求職者のキャリアに寄り添い、他の選択肢を提案ができる人材業界に興味を持つようになりました。

 前職が大きな組織だったこともあって、転職活動では、自分がやりたいことをすぐに形にできるようなスピード感のある組織で働きたいと考えていました。そんな中「ベンチャー企業の中で本気で人材事業をやっている会社がある」とキャリアアドバイザーから紹介されたのがレバレジーズでした。実際に説明会に行ってみると、IT業界を始め、医療・介護業界や若年層に向けて、事業創りに真剣に向き合う会社の姿勢がありました。自分が採用をやっていた時に救えなかった若い人たちへの支援ができる。そう思って、若年層の就労支援を行っているヒューマンキャピタル事業部を志望して入社しました。

実際にキャリアアドバイザーの仕事をして、気づきはありましたか?

 相手の人生に真剣に向き合えるようになれたことです。前職でも顧客のことは考えていましたが、単純な物売りの商売だったので。振り返ると、営業職として「どういう風にモノを売ればよいか」という点にしか目を向けられていなかったと思います。その反面、キャリアアドバイザーの仕事は自分が介入することで、相手のその先の人生を変えてしまう可能性がある。自分が発した言葉や、勧めたこと、その一つ一つが相手の人生に影響していきます。この「相手の人生を変える」という意識は、この仕事において重要な観点だと思います。

キャリアアドバイザーは、求職者にとってどんな存在であるべきだとお考えでしょうか。 

 「良き相談相手であること」は当然ですが、最終的には本人の自立を促する存在であることが重要です。これは「ハタラクティブ」のユーザーが、10〜20代のフリーター・第二新卒・既卒の方がメインであることが起因していて、求職者が今後の人生を自分の足で歩いていけるよう「今、変わらないと後戻りができない」ということを理解してもらう必要があります。それができて初めて、求職者の人生の「軌道修正」ができると思うんですよね。フリーターになった人の中には、幼い頃や学生時代から夢を持って「自分はこうなるんだ」と、ここまできた人も少なくありません。しかし何かの事情でそれが叶わず少しずつ想像と違う人生を歩んでしまった時に、上手く軌道修正ができていない。また、中には「フリーターのまま人生終えてもいい」という人もいます。それはそれで一つの人生ですが、自分で人生を切り拓いていけるような他の選択肢や可能性があることも知っておいてほしいと思うんです。 

 だからこそ、私たちキャリアアドバイザーは「自分で考えて行動できるヒントを伝えていく」必要があって、相手の希望に寄り添い過ぎることも良くないんです。これから生き抜いていくための方法を自分で考えていけるように「働くとはどういうことか」「仕事とはどんなものか」についてしっかりと向き合ってもらいます。そう考えると、やはりキャリアアドバイザーとしての最終的なゴールは、求職者がその後の人生をしっかりと歩んでいける道筋を作ることだと感じています。

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池袋支店での決起会の様子

事業部史上初の単独支店立ち上げを経験、池袋から全国へ

池袋の支店立ち上げをされた当時のことを教えてください。

 入社半年後、渋谷の本社でプレイングマネージャーとして、リーダーも兼務するようになりました。リーダーに就任してから8ヶ月目のタイミングで、池袋支店の立ち上げの話を頂きました。参画が決まってからは、物件探しから始め間取りや内装、配置なども担当して進め、3〜4ヶ月の準備期間を経て、かなりのスピード立ち上げを経験しました。池袋支店は、ヒューマンキャピタル事業部として初の単独支店で、その成功は今後の事業部を巡っても大きなポイントとなっていました。その当時の成果が、後の全社総会でベストチーム賞ノミネートというかたちで評価されました。  

当時苦労したことを教えてください。

 立ち上げ当初は何が正解かもわからず、何から手をつければいいか分からないような状態でした。ただその中で最優先に考えていたのは、開業ができたら、面談に来てくださった求職者に対して即時にサービス提供ができ、トラブルなく運営できるようにすること。これだけをいつも念頭に置いていました。

 2017年10月に立ち上げ後、当初の予想より多くの求職者が面談にきてくださったことは逆に苦労したことでした。もちろん嬉しい反響でしたが、面談をするだけで1日が終わってしまう日も。振り返ると僕自身も求職者対応をしながらマネジメントをする状況は、立ち上げならではの大変な時期でした。メンバー育成に関しても、ナレッジや事例共有を通じてメンバーの抱える問題を一つひとつ丁寧に解決していくいことを目指していました。

ベストチーム賞にノミネートされた要因について教えてください。

 池袋支店はヒューマンキャピタル事業部にとって初めての立ち上げ支店ということもあって、プレッシャーもかなりのものでした。でもそこは「失敗したらどうしよう」ではなく「目の前のことを1つずつやるしかない」という意識を強く持っていました。メンバーには「この池袋支店が成功したら事業部はもっと大きくなる。まずは僕たちが成功させよう」と発信して伝えるようにしていました。メンバー一人ひとりが「自分たちがやらないと事業がスケールしない。逆に自分たちが出来ないのであれば他の誰も出来ない」という強い当事者意識を持っていたからこそ達成できたと思っています。その時の努力があって、現在は秋葉原や大阪、横浜と支店展開が次々と進んでいます。

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「就労支援は一度でよい」、自分で選択できる若者を増やす

ハタラクティブについて、今後の課題などあれば教えてください。

 例えると、「ハタラクティブ」はやっと卵から孵ったヒナのフェーズです。リーダーの成熟度や組織の体制など、大企業と比較するとまだまだ立ち上がったばかりの初期段階。ここから立派なニワトリへと成長させるために「事業部の方向性と同じ価値観を持って働く仲間」を増やしていく必要があります。

 例えば、1人の人間には1日24時間365日しかなく、できることも限られていますよね。リーダーという仕事は、究極的には自分がいなくなっても、メンバーが能動的に仕事を創造していける状態を作ることだと思っているんです。自分と同じような考え方や価値観を持つ人がいて、その価値観がメンバーに共有され、それが他の人に浸透されていって、組織が動いていく。組織で同じ価値観や想いを持つ人が増えていくことで、事業部や会社はもっと成長していくことができると思っています。

多田さんの今後の展望を教えてください。

 今携わっている「ハタラクティブ」は、お仕事を紹介するという「出口」の部分を担うサービス。学生生活が終わった後、もしくは学校を中退した後から関わるサービスなので、今後はこの前段階のキャリアを考える「入口」の部分も作っていく必要があります。大学生や高校生に向けた仕事に関するセミナーや、企業と接触機会を設けることで、社会に出るための必要な基盤となる知識や能力をつけるための支援も拡充させていきたいです。

 極論ですが、僕は日本から人材紹介業がなくなったらいいと思っています。もちろん人材紹介は必要な事業ですが、これが無くても自らキャリアを考えられる若者を増やすことが重要という意味で、そう考えています。求職者が最終的に自分で考えて行動さえできれば、自分で仕事を見つることができる。その状態が理想だと思っています。人材紹介は対処療法であって根幹治療ではない。だからこそ学生段階からのキャリア教育の重要性を今とても感じているんです。

 もっとも若い人たちが、自分の夢を追いかけるのは非常に良いことです。しかし、そこで生き残っていける人はわずか数%という現実もあって、夢を追いかけた先まで考えられていなくて、結果としてフリーターになる若者が多いのも事実です。将来の夢と同様に別の選択肢を一つでも多く持っていたら、フリーターになったその人の人生は変わっていたかもしれません。仕事には本当にたくさんの種類があって、それぞれに魅力があります。社会に出る前のキャリア教育によって「○○しかやりたくない」と、将来の選択肢を自ら狭めるのではなく、自分の人生を自分で切り拓く力のある若者たちを増やしていきたいです。