メンバーのWillへの導き方は?納得感を高める7ステップ(後編)

リーダーマネジメント

ひと

レバレジーズのリーダー平均年齢は26.8歳で、多くの若手リーダーがマネジメント業務をしています。マネジメントを行う中で「自分のなりたい姿=Will」が見つからないメンバーがいた場合には、具体的にどう向き合えば良いのか。明日からすぐに取り入れられるメソッドを、リーダー業務に奮闘する寺境さんに聞きました。今回は後編をお送りします。(編集:徳永)

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Profile
  • 寺境(Jikei)
    レバテック株式会社 ITソリューション事業部 リーダー

    2016年新卒入社。内定時よりインターンを経験し、入社後はレバテック株式会社にてクリエイター部門のキャリアアドバイザーとして従事。2年目に同チームのリーダーに抜擢され、現在は法人担当チームを含め、約20名のマネジメントを行っている。映画鑑賞が趣味で、好きな映画は実写版『アラジン』と『海街diary』。

【第3回】マネジメントコラム

Willの見つけ方、7つのステップ

 

下記の手順でWillを見つけていきます。本記事ではステップ⑤〜⑦をご紹介します。

 

①1on1でメンバーの現状を把握する

②「漠然としたWill」がないか、ヒアリングする

③Willがない場合は、無理に引き出さない

④色々な仕事を任せてみる  

⑤できるようになったことを振り返る

⑥「短期的なWill」を探す

⑦Willを叶えるためのフォローをする

 

⑤できるようになったことを振り返る

 

リーダーから見て、メンバーが「できるようになったこと」や「成長している点」を言語化して伝えましょう。ミーティングやフィードバック面談でまとめて伝えることも大事ですが、普段の業務中に「これができるようになっているな」とリーダーが気付いたタイミングで、口頭で伝えると良いでしょう。初めて携わった業務の場合は特に、メンバー自身が「できるようになった」と自覚しにくい可能性があります。できるようになったことや成長実感がWillに繋がる可能性があるため、リーダー側でメンバーの成長を感じた時点で言語化して伝え、本人に自信をつけてもらうことが大切です。

 

また「その成長がどのように組織や顧客のプラスになっているか」も伝えましょう。レバレジーズは特に人や組織への貢献にやりがいを持つメンバーが多いため、自己成長の観点だけでなく貢献の観点からもフィードバックすると、より本人の自信に繋がりやすいです。その際、当初と今の状態を比較して話すようにすると、メンバーにも伝わりやすいです。

 


 

業務を任せている間は、週1回ミーティングをして「つまずいていている点がないか」を確認すると同時に「その業務を担当して、今どう感じているか」を聞きます。「楽しい・楽しくない」の感情をモニタリングしながら、感じたことを言語化してもらうことで、その業務が本人に合っているかを確認していきます。ただし「楽しくない=業務が合っていない」と判断するのは危険です。どの部分が「楽しくない」と感じたのかを深堀ることで、本人の「モチベーション変化のフック」を探してみてください。

 

ほかにも、業務の進捗から本人の得意・不得意が判断できる場合もあります。作業工数によるため一概には言えませんが、その業務を楽しいと思っているメンバーは進捗が比較的速く、その業務に関しての質問も多い傾向があります。「どれだけ前のめりにその業務に取り組んでいるか?」「プラス・マイナスの話どちらが多いか?」が判断材料になります。また、メンバーから「こういう風にやりたいです」という提案があれば、その業務は本人が得意と感じている可能性があるので、そういった提案を見逃さないようにしましょう。

 

⑥「短期的なWill」を探す

 

任せた業務が完遂したら、改めて本人へ「今後挑戦したいWill」をヒアリングしてみましょう。できることが増えていく中で、Willが見つかっている可能性があります。ただし、2〜3年後の「長期的なWill」ではなく、直近1年以内の「短期的なWill」を見つけることが、成功のカギです。まずその「短期的なWill」を実践した後、次にやってみたい「短期的なWill」を見つけます。こうしてWillを繋げていくことで「興味の幅=自分の選択肢」が増え、やがて「長期的なWill」が見つかるようになっていきます。

 

任せた業務が、そのままWillに繋がるケースばかりではありません。その場合は、任せた業務の「一部分」でも良いので楽しいと感じたことを聞きます。例えば教育を任せたメンバーが「教育項目のチェックリスト作成にやりがいを感じた」なら、制度設計が向いている場合もあります。その業務を成功させるために工夫した経験が、次に繋がっていきます。

 

⑦Willを叶えるためのフォローをする

 

メンバーのWillが見つかったら、そのWillと現状のギャップを埋めるためにどのような経験・スキルが必要だと考えているかを聞いてみましょう。その経験・スキルで本当にWillに近づくのかという視点を持ちながら、一緒にブラッシュアップしていきます。

 

ただし、メンバーのWillが「リーダー自身が今まで経験していない分野」の場合、良いアドバイスができない可能性があります。その場合は、その分野で経験を積んでいる社員を紹介しましょう。継続して話した方が良ければメンターになってもらい、定期的に1on1をしてもらうようにします。自分だけでメンバーのWillを全てカバーすることが難しい場合もあるため、誰が一番本人の理想に近づけられるかを考えましょう。

 

まとめ

 

「短期的なWill」を繋ぐことが、最も有効な方法

 

私自身、入社時に「長期的なWill」がなかなか見つからず、上司からの「将来どうなりたい?」という問いかけに答えられなかった経験があります。何も言えないけれど、でも何か言わないといけないと思い、無理をして「長期的なWill」を作って伝えてしまったこともありました。

 

そんな時「少し背伸びすれば手が届きそう」と思える目の前の業務を任せてもらったことで、できることが増えていきました。そうして「短期的なWill」を繋げて、できることが増えた時に初めて「こういったことがやってみたい」という長期的なWillができました。そういった体験から「上司への報告のために作ったWill」はあまり意味がなかったんだなと再確認し、今は「無理に答えを出さなくて良いんだよ」と伝えています。

 


 

リーダーとして大切にしていること

 

「メンバーの仕事を巻き取り過ぎないこと」を大切にしています。「メンバーが大変だろうから」と新しい仕事を任せず、リーダー自身も同じ仕事をし続けている限り、部下であるメンバーの業務範囲が限定されてしまいます。

 

メンバーの仕事を巻き取るリーダーは、一見「手を差し伸べる、優しいリーダー」に見えるかもしれませんが、大切なのは、メンバーが効率良く働けるよう仕組みをつくることと、リーダー自身もさらに上流の仕事に取り組むことだと考えています。具体的な仕事を巻き取るのではなく「仕組みづくり」をして、新しい仕事を任せることが、メンバーの成長に繋がると考えています。

 

最後に

 

Willが見つけられなかった私を導いてくれた当時の上司を、今も尊敬しています。どんな状況でも私に業務を任せてくれて、チャンスを与え続けてくれました。失敗しそうなときは、そうなる前に必ずフォローしてくれて、結果がどうであれ、挑戦したこと自体を認めてくれました。そして、また新しいチャンスを与えてくれたんです。だからこそ失敗したとしても次の業務に挑戦できて、できることが増えた頃に初めて「長期的なWill」が見えたと感じています。

 

自分自身、リーダーとしてまだまだ勉強中ですが「新しい業務に取り組むことをきっかけに、Willを見つけて欲しい」という想いで、関わるメンバーに色々な業務を任せています。目の前の業務ももちろん大事ですが、それだけに必死にならず、新しい業務に取り組んで少し視座を高められれば、メンバーの視野が広がります。そうすることで、きっとそれぞれのメンバーが本当に叶えたい「Will」を見つけられるので、ぜひ試してみてください。

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