日鉄・Apple出身者が語る。親世代の価値観が通用しない、キャリアの新常識
カルチャー
「大企業に入れば一生安泰」という価値観がいまだ根強い現代。しかし、終身雇用の崩壊やAIの台頭により、その「安定」の定義は大きく揺らいでいます。新卒で日本を代表する大手鉄鋼メーカーの日本製鉄社に入社したスズキと、新卒で外資系大手メーカーApple社に入社したタカハシ。なぜ二人は、誰もが羨むはずの「安定」を手放し、レバレジーズへの転職を選んだのか。異なるバックグラウンドを持つ2名が見つけた、現代社会で真に「安定」を得るために必要な「職能」と、その磨き方に迫ります。(ライター:青木)
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スズキ
セールス マネージャー早稲田大学を卒業後、新卒で日本製鉄社(以下、日鉄社)に入社し、総合職として勤務。2021年2月にレバレジーズへ入社。入社後は法人セールスとして従事し、マネジメント、新規事業企画、政策企画、など複合的に経験の幅を拡げる。趣味は筋トレ、サウナ。
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タカハシ
人事部 新卒採用グループ リーダー早稲田大学を卒業後、新卒でApple社に入社。社内ギネス2年連続更新などトップセールスとして活躍後、2023年にレバレジーズの人事部新卒採用グループへ参画。入社半年でリーダーに昇格し、採用・育成・企画を管掌。趣味は、旅行と飲酒。

大企業の看板を捨てた二人の葛藤。大企業の「安定」は、なぜ幻想に変わったのか
まずは、新卒でスズキさんは日鉄社を、タカハシさんはApple社を選んだ理由からお聞かせください。
スズキ
私が就職活動をしたのは約8年前ですが、当時は今よりも「安定している大手に行くべき」という風潮が強かったように思います。周りの友人や両親もそう考えていたので、私自身も大手以外は見ていませんでした。そのなかでも、どうせ働くのであれば「国のためになる」領域で、日本ひいては世界へのインパクトが大きい仕事がしたいと考え就活を進めていました。
最終的には、日本の強みである産業の分野で圧倒的シェア率を誇っていた、日鉄社へ就職を決意。業界1位という社格があり、事業規模が大きく、グローバルにも影響範囲が広いところに惹かれ「一生安泰」だと思い入社を決めました。
タカハシ
私もスズキさんと同じで、大手に入ることが「正解」だと思っていました。周りの友人や先輩も当たり前に大手企業に就職していたので、自分も大手企業へ就職するものだと思い、メガベンチャーすら見ていませんでしたね。
私は女性としてのライフイベントなども考慮し、大手のなかでも日系の年功序列型の企業ではなく、実力主義で年次に関係なく早期に評価されることが可能な環境を重視しました。そのため、外資系企業であるApple社に就職を。やりたいことが明確にあるわけでは無かったですが、年収や社会的なステータスといった部分から「安定」を得られる企業を軸に、就職先を選定しました。
お二人共、大手企業への就職で求めていた「安定」を得たように見えますが、転職を考えたきっかけは何だったのでしょうか?
スズキ
大きく分けて2点あります。1点目は、「価値貢献への手触り感」の欠如です。 前職では、国益に資する大規模なプロジェクトに携わる誇りはありました。しかし、実際の若手の業務は社内会議の資料作成や先輩のサポートなど、非常に内向きなものばかりでした。「自らの意思決定で事業を動かしている」という実感が持てず、10年後の裁量を持つよりも、今この瞬間に自己効力感を求めるようになり、日に日に焦燥感が強くなっていきました。
2点目は、「自分自身の市場価値」を見つめ直したことです。前職では製品の専門知識を覚えたり、大手ならではの社内稟議や根回しに奔走したりなど、社内政治のスキルばかりが身につきました。しかし、ふと立ち止まったとき「特定の会社でしか生きない知識を叩き込むことが、ビジネスパーソンとしての市場価値につながるのか」と疑問を抱いたんです。 今の自分は、顧客への貢献ではなく会社という組織に人生を捧げることで給料を得ているのではないかと。
市場でも通用する汎用的なビジネススキルを身につけ、経済的にも精神的にも自立し、顧客への価値貢献に向き合うことが本来叶えたいことなのではないかと考え、転職を決意しました。
タカハシさんは外資系なので、日系大手とはまた違った葛藤がありそうですよね。
タカハシ
そうですね、共通する部分も多いのですが、外資系ならではのきっかけが大きく2つあります。
一つは「誰のために働いているのか」という強烈な疑問です。Apple社は超成果主義で、年俸が成果によって変動するアスリートのような世界です。私はトップセールスとして成果を出していましたが、成果のためには顧客にとって本当に必要か疑わしいオプションも、ときには販売していました。
仕事はあくまで「お金を稼ぐ手段」と割り切り、数字を上げることだけにモチベーションを置いていたんです。しかし、ふとキャリアを振り返ったとき、虚しさが押し寄せてきました。「私がいたから救われた」と顧客に心から思ってもらえるような、数字以上の介在価値を求めたくなったんです。
2つ目は、「割り組織による職能の固定化」です。 外資系企業、特にジョブ型雇用の組織では「職務」が厳格に定義されており、そこから染み出して職能を広げることが非常に困難です。
実際に、マーケティングや事業開発といったスキルを身につけたいと社内異動を打診したことがあります。しかし返ってきたのは「会社にとっては、外部の専門家に任せたほうが早い」という徹底した合理主義の回答でした。好奇心が強く行動障壁が少ないのが自分の強みだと考えているなか、自分の可能性を塞いでしまっているのではないか?と思ったんです。
会社の利益のために最適化されるピースとしてではなく、一人のビジネスパーソンとしてスキルを拡張できることを求め、転職を決意しました。

お二人とも「スキルの拡張」を求めての決断だったとはいえ、大企業からベンチャー企業への転職に不安はなかったのでしょうか?
タカハシ
正直、不安はありました。家族や友人は全員反対でしたし、ネットの情報を見て、心配になることもありました(笑)。ただ、私は自分の人生は自分で意思決定した方がいいと思っていますし、「安定の概念」が転職活動時には大きく変わっていました。
転職活動をしたとき、いくつかの企業で書類選考で見送られてしまったんです。エージェントの方には「タカハシさんはプレイヤーとしてのスキルはあるが、人を育成するマネジメントの経験がない。中途社員はマネジメント経験者以上で募集している会社もあるので、そこがネックになっている」と自分の職能の限界を指摘されました。世界的大手企業のトップセールスとして成果を出していれば、正直引く手数多であると思っていたので、当時は衝撃を受けたことを覚えています。まさに「どこで働くか」では無く「何をしてきたか」が重要であると実感した体験でした。
また、組織の都合でキャリアを制限される経験を通じて、「自分の可能性を自分自身でコントロールできない状態」こそが、最も不安定だと気づきました。私にとっての安定は、自分の名前で戦える「職能」を拡張し自分の可能性を自分次第で広げ、経済的な豊かさも自分自身でコントロールできる環境でこそ得られるものだと、180度価値観が変化しましたね。
スズキ
私も、周囲は皆心配してくれていましたね。祖母に伝えた際に「カタカナの会社は辞めておきなさい」と言われたことは、今でも忘れられません(笑)。
ただ私も、転職活動という「市場」に晒され、安定の定義が大きく覆されました。就活時は「安定とは組織が与えてくれるもの」と考えていましたが、今は「自らのスキルで生み出すもの」だと確信しています。
転職活動時のエージェントに「スズキさん、何もできなくないですか?」と突きつけられた経験は決定的でした。良い大学を卒業し大手企業に入社したのだから、どこも書類は通過するだろうと考えていたんです。しかし蓋を開けると、経験スキルが原因で書類選考の見送りが続きました。
その時、真の安定とは「どの環境でも成果を生み出せる自分自身」をつくることで生まれるものだと。つまり「職能」を手にすることなのだと気づきました。

AI時代に、真の安定を得るために。代替されない「職能」とは。
会社の看板ではなく「個人の職能」こそが安定に繋がるというお話、大変納得感があります。では、AI時代において代替されない「職能」とは、具体的に何だとお考えですか?
スズキ
AI時代に価値を持つのは、「ゼロから何かを生み出す力」や「既存の仕組みをより良く創り変える力」だと思っています。逆に言えば、決められたことを決められた通りにこなす仕事は、職種を問わずAIに代替されるのではないでしょうか。タカハシさんはどう考えますか?
タカハシ
私も同意見です。加えて「人の心を動かす力」も代替されないと考えます。マネジメントにおいて、メンバーの感情の機微を察し、言葉を選んで鼓舞し寄り添う。これは、感情を持つ生き物にしかできないと、強く感じます。
採用活動も同じです。候補者の人生に深く向き合い、心を動かす。こうしたリーダーシップや人の感情を動かす力は、AI時代にも代替されないのではないでしょうか。
「創り手側・人の心を動かす側」の職能を身につけられるのは、どのような環境だとお考えですか?
タカハシ
「会社が急成長していること」が最も重要だと考えます。会社が成長し、組織が拡大していれば、新しいポストや事業が次々と生まれます。つまり、マネジメントや事業開発などに挑戦できる機会が、自然と増えていくことを意味します。
また人事の視点では「若手に未来を託す文化があるか」も大切だと思います。経験豊富な中途採用だけで事業を動かすのではなく未完成の若手に裁量を与え、失敗を許容する。職能は座学のようなものではなく、実践のトライ&エラーでしか磨かれませんから。
レバレジーズは、まさにそれを体現している会社だと感じています。入社後早い段階から裁量を与えてもらい、スピード感を持ち職能を獲得できている実感があります。
スズキ
その通りだと思います。私も「会社が与える裁量の大きさ」が圧倒的に他と違うと思います。前職では、機会を得るまでの「待ち時間」があまりに長かった。だからこそ、レバレジーズに入社し、早期から「何かを創る」「人の感情を動かす」経験を積めることの価値を痛感しています。
お二人は実際に、入社後どのような経験をされているのでしょうか?
スズキ
セールスとして入社し、2年目からリーダーを任せてもらいました。その後は、教育、新規組織や事業の立ち上げ、採用、研修の企画・作成などを経験し、直近では政策企画やBPOグループのマネージャーも兼務しています。
目の前の仕事に向き合い、成果を出し続けていれば、会社の成長とともに生まれる新しいポストや、自分自身が見つけた組織課題に対する施策など、さまざまな挑戦の機会を与えてもらえる環境です。
タカハシ
未経験の採用業務からスタートし、半年でユニットリーダー、1年でグループリーダーを任せてもらいました。現在は採用業務に加え、マネジメントやイベントなどの企画業務にも携わっています。
スズキさんと同じく、与えられた役割に対して常に100%以上の成果を出すことを意識してきた結果、自分の意思でキャリアをデザインできている感覚があります。会社が成長しているため、新しいポストやプロジェクトが次々と生まれており、自分次第でいくらでもチャンスを掴める環境です。
インハウス体制であることも、職能の広がりにおいて大きなメリットになりそうですね。
タカハシ
まさにその通りです。他社では、面接以外のイベント企画や研修企画などを、すべて人事で担うケースは多くありません。
その点、レバレジーズでは、採用戦略の設計から説明会、採用イベント、内定者研修まで、すべてを自分たちで創っています。採用業務の一連をここまで幅広く経験できる会社は、他にないと思います。
スズキ
セールス職も、事業企画やマーケティング、採用など、職種の枠を超えて挑戦できる機会が数多くあります。それも、事業創造に必要な機能をすべて社内で担うインハウス体制だからこそ。実際私自身も、セールスとして入社した当時には想像もできなかったキャリアを歩んでいます。

「職能」を武器に、未来の日本とレバレジーズを牽引する存在へ
最後に、お二人が目指す今後のキャリアビジョンをお聞かせください。
スズキ
引き続きセールスを軸にしつつ、入社時からの想いである「日本の国力を高めること」に貢献したいです。
直近で政策企画に携わっているのもその一環です。目の前の顧客だけでなく、業界や社会全体に影響を与える仕事がしたい。 かつて日鉄で抱いた「国のため」という志を、今はレバレジーズという場所で、より手触り感を持って実現できていると感じます。
タカハシ
私は、組織の「血液」である採用・人事領域のプロフェッショナルとして、マネジメントの規模を拡大していきたいです。 優秀な人を採用し、育成し、熱狂を生み出すことが、会社の成長に直結する。この仕事に誇りを持っています。
また、「出会ったすべての人の人生を前向きに」という人事が掲げるテーマを体現し続けたいですね。合否に関わらず、私との面接を通じて「仕事って面白そうだな」と少しでも感じてもらえたら、最高のやりがいです。
最後に学生さんに向けてメッセージをお願いいたします。
スズキ
新卒の皆さんには「実際に自分が働くこと」を前提に、その環境が本当に自分に合っているのかを考えてほしいと思っています。
新卒就活では実務経験が少ないなか、親や周囲の意見など、バイアスのかかった情報に振り回されがちです。学生時代であれば、スポーツやテストで「一番を目指す」ことが一つの正解だったかもしれません。でも社会人になると大切なのは、「自分に合うかどうか」です。
「なんとなく大手が安定していそう」「なんとなく楽しそう」といった感覚を、そのままにせず、ぜひ言語化してみてほしい。そして、実際に働く先輩社員から一次情報を取りに行き「本当に自分に合う選択なのか」を判断することに妥協しないでほしいと思います。
レバレジーズは「職能」を身につけ、主体的にキャリアを築きたい方にとって、とても相性の良い環境です。自身のキャリアと会社の成長を重ねながら、前向きに挑戦していける方と、一緒に働けることを楽しみにしています。
タカハシ
私も、かつては「なんとなく大手」を選んだ一人でした。だからこそ、その「なんとなく」に一度きちんと向き合ってみてほしいと思っています。
採用面接などで「なぜ大企業がいいのか」と聞くと、意外と明確な理由を言葉にできる人は多くありません。「いい大学を出たから」「世の中的にそれが正解だから」それは、あなた自身の選択の理由にはならないと思っています。
「自分は、どんな人生を歩みたいのか」。その問いから逃げず、スズキさんの言うように、自分の足で集めた一次情報をもとに、納得感のある意思決定をしてほしいと思います。
そして、もしその選択肢の先にレバレジーズがあるのなら、未来を一緒につくる「仲間」としてお会いできることを楽しみにしています。
