レバレジーズのM&Aはまさに「企業の転職」。次代のスタンダードを創るための挑戦とは
事業 / サービス
「M&Aは、企業の転職です」
そう答えるのは、M&A事業でマーケティング責任者を務める夜久さん。現在の日本は、本格的に少子高齢化・人口減少社会の真っ只中にあり、その影響はさまざまな分野に波及しています。特に深刻なのが、日本企業の約9割を占める中小企業における後継者不足問題。近年、これらの問題解決方法の1つとして、M&Aが注目されています。今回は、そのM&Aについて、業界を取り巻く課題やレバレジーズの取り組み、そして今後について語ってもらいました。(ライター:青江)
-
夜久(Yaku)
M&A事業 マーケティング責任者京都大学卒業後、2018年新卒入社。teratail事業部にてセールスの内定者インターンで経験を積んだ後、1年目でマーケティング部に配属。ハタラクティブやキャリアチケットの広告運用をおこなう。その後、フリーランスのマーケターとして独立し、さまざまな規模・業種の広告運用をおこない、業績アップに貢献する。その後、レバレジーズに再入社。現在は、M&A事業のマーケティング責任者として、さらなる事業拡大のために日々奮闘している。 趣味は漫才・DJ・ボクシング。
日本の社会問題:中小企業の倒産
中小企業の倒産と後継者不足
ご存知の方も多いとは思いますが、日本の全企業数のうち99%は中小企業です。新型コロナウイルス感染症流行の影響による、いわゆる「ゼロゼロ融資(※1)」によって倒産件数は一時的に抑えられていましたが、2024年には1万件を超える高水準となる見込みとなっています。
中小企業の倒産には、さまざまな要因がありますが、いわゆる「2025年問題」も大きく関係しているのです。2025年までに70歳を超える中小企業や小規模事業者の経営者は約245万社まで増加、そのうち約半数の127万社が現状後継者が未定の状態。(※2)そのため、黒字にも関わらず倒産を選択せざるを得なかったり、日本の伝統技術を後世に残すことができなかったりとさまざまな問題が発生している状況です。
2025年までの累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があるとの試算もあります。
このような課題に対して、レバレジーズのあらゆる分野における専門性を活かせば、ユニークな解決策を提供できるのではないかと考えました。そこで2018年、レバレジーズの事業の一環として、サービス提供を開始。さらに2020年には、サービス領域を大幅に拡張すべく同事業を分社化し、現在に至っています。
※1:新型コロナウイルス感染症流行の影響によって売り上げが減少した個人事業者や中小企業に対して、実質無利子・無担保で融資を行う仕組みのこと
※2:中小企業庁が作成した資料「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」より抜粋
M&A業界の問題:マッチング重視のM&A
成約を目的としたM&Aが横行
近年、事業継承を目的としたM&Aが増えるなか、M&A仲介事業に参入する企業も年々増えています。しかし一方で、成約のみを重視したM&Aが横行するなど、課題も存在しています。
■成約のみを重視したM&Aとは
M&Aをおこなう際に、単に成約(契約締結)自体が目的となってしまい、本来のM&Aの目的が二の次になってしまうような状況
これは一見、早くM&Aが決まり、後継者不足が解決するので良いことに見えるかもしれません。しかし、成約を急ぐことにより従業員同士の対立、業績悪化、企業価値の低下を招く可能性が高くなるのも事実です。
では、なぜこのようなことが起こってしまうのか。その理由に関して、我々はM&A仲介業の構造に問題があるからではないかと考えています。M&Aは売買金額がかなり高額であることに加え、その金額に比例したインセンティブが仲介担当に入る構造となっています。この構造こそが、望んでいないにも関わらず仲介業者が成約を急いでしまう大きな一因となっているのです。
才能と環境のマッチング手段としてのM&A
才能と環境のマッチングを加速させる
レバレジーズグループは人材関連事業を中心に事業を多角的に展開し続け、業績を伸ばし続けてきました。そこで培った経験やスキル、そして豊富なデータベースを活用することで、本質的なマッチングを実現してきたという現状があります。
その過程のなかで改めて認識したのが、会社を構成するもっとも大切な要素は「人」であるということです。大切な要素が「人」であるにもかかわらず、あらゆる人的価値がおざなりになっていることで、企業自体の競争力が下がり続け、結果として日本の競争力が低下しているのです。つまり、日本の競争力低下の大きな理由は、「人」に起因する部分が大きいと考えています。
個人の能力を最大限に発揮するためには、環境が大きな要素となります。しかし現在の日本では、才能と環境のミスマッチが深刻な問題となっており、多くの人が持つ本来の能力や才能を十分に発揮できていないのが実情です。そこでレバレジーズグループは、人材と企業の最適なマッチングを実現することで、一人ひとりの持つ可能性を最大限に引き出すことをサポートしています。
一見、これらの課題は個々人の問題として捉えられがちですが、より広い視野で俯瞰してみると、企業単位でも同様の状況が見られます。
M&Aは、本質を捉えるならば「企業の転職」と表現するのが適切でしょう。というのも、A社はB社と協業中ですが、パフォーマンス最大化の観点からはC社と組む方が望ましいケースがあり得るからです。個人が自らのキャリアアップやワークライフバランスの実現のために転職するのと同じように、企業もより良い事業環境や成長機会を求めてM&Aをおこなうのです。つまり、M&Aとは企業が最適な事業環境を求めて「転職」するものといえます。
表面的な部分に捉われず、中長期的な視点でその企業同士の組み合わせがパフォーマンスの最大化につながるかどうかを最重要視する必要があります。この考え方こそがM&Aの本質であり、こうした発想を広めていくことで、日本経済の活性化にもつながるはずです。
M&A業界の当たり前を変革する
先ほどお話ししたように、近年は成約実績のみを重視したM&Aが横行し、問題視されています。長期的な視点に立てば、このようなM&Aにはデメリットが大きいため、是正が必要不可欠です。そこで我々は、高い基準を設け、中長期的な観点から企業のM&A支援をおこなっています。
具体的には、仲介契約締結前の面談で、M&A以外の選択肢も含めた綿密な対話を重ね、中長期的に最適な選択ができるようサポートしています。面談では、M&Aを前提としているわけではなく、時期や事業要因などを踏まえ、M&Aを見送ることも稀ではありません。
一方で、当社が重点的に取り組む案件においては、全力を尽くしてサポートをおこないます。それにより、関係するすべてのステークホルダーの理解と同意を得ながら、案件を円滑に進めて成約(クロージング)に至ることができます。
加えて、適切な案件進行を重視するため、担当者の業績評価においては、成約実績のみならず、提案プロセス、顧客対応、リスク管理など、中間プロセス全体を多角的に評価しています。このように総合的な評価をおこなうことで、単に成約を求めるのではなく、M&A案件の質を追求し、不適切な案件の発生を抑止しています。
環境と才能のマッチング成功事例
とある会社の事例をご紹介させていただきます。
その企業は、若手社員のキャリアパスを多様化することを目的に、M&Aを検討していました。従来のM&Aでは新規事業への参入や既存事業の拡大が主な目的でしたが、この事例では社員のキャリア多様性の確保という、M&A業界では珍しい狙いがありました。
私自身も、この事例を通して、M&Aの新しい可能性を感じました。というのも、このM&Aは、社員のキャリア課題という本質的な問題を解決し、その結果、業績向上やステークホルダー全員の利益につながるものだったからです。
キャリアの選択肢が増えるだけでなく、新規事業の展開にもつながる可能性があり、社員一人ひとりが前線で活躍できる環境づくりは、企業の原動力となります。まさに「人」を起点に考えられたM&Aであり、成功事例といえるでしょう。
レバレジーズM&Aアドバイザリーの目指す未来
今後は、キャリアと環境の最適なマッチングを実現したような事例を増やし、M&Aをより身近で自然な選択肢として認知されるよう努めていきたいと考えています。確かに、M&Aに対してはネガティブなイメージを持つ方々も一定数いらっしゃいます。しかし近年、地方における事業承継問題や後継者不足の解決策として活用されるなど、徐々にその役割が見直されつつあります。
このネガティブなイメージを完全に払拭するため、当社では長年培ってきたソリューション力を存分に発揮し、M&Aを通じたさまざまな課題解決事例を積み重ねていく所存です。事業継承や人材確保など、現代社会が直面する顕在化した問題に対して、一つひとつ解決に取り組むことで、M&Aの新たな可能性と価値を広く周知し、より開かれた選択肢としての地位を確立させていきたいですね。
今後は、M&Aという手段を活用し、人の力を活性化し、日本の更なる発展への導くことに尽力していきます。