新たな指標で、はたらくを変革する。HR系SaaSプロダクト「NALYSYS」の秘策とは

事業創造社会課題の解決中途新卒

事業 / サービス

「レバレジーズ初のHR系SaaSプロダクトを一からつくりあげるのは大変でしたが、刺激的でしたよ」
そう語るのは、現在HRテック事業部にて事業責任者を務める大滝さん。近年、生産年齢人口の減少と働き方改革により、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。そのような状況下で日本経済を維持・発展させるには、個々人の生産性の向上が必要不可欠です。企業や人材の多様化が進むなか、従来の人材管理の方法では立ち行かなくなってきています。そのようななかで、最新のIT関連技術を駆使し人事関連業務に変革をおこそうとしているのがHR系SaaSプロダクト「NALYSYS」。今回はこれまでにない指標を用い、次代のスタンダードの創造に挑戦している、HRテック事業部の取り組みを取材しました。(ライター:青江)

Contents
Profile
  • 大滝(Otaki)
    HRテック事業部 事業責任者

    千葉大学大学院融合科学研究科卒。2019年レバレジーズに新卒入社。法人営業を経験したのち、エンジニアに転向し新規事業で開発リーダーとして従事。その後、大手人材企業に転職。求人媒体のプロジェクトマネージャーとしてプロダクトの戦略立案からステークホルダーとの調整、要件定義、デリバリーまで幅広く担当する。2023年3月、レバレジーズの新規事業のプロジェクトマネージャーとして復職。現在は、HRテック事業部の事業責任者として、事業の推進をおこなっている。趣味は、筋トレ。

HR領域の課題を紐解く新たなプロダクト

日本を取り巻く社会課題「生産年齢人口」の減少

日本の生産年齢人口は1995年をピークに減少を続け、2050年には5,275万人になることが予想(※1)されています。また、日本生産性本部のデータ(※2)によると、日本の労働生産性はOECD加盟38カ国中30位と低迷していることから、1人あたりの生産性が低いにもかかわらず、労働力となる人口も減っているという二重苦の状況です。

 

そのようななか、企業の競争力の源泉として「人」に着目した「人材版伊藤レポート」(※3)が令和2年に公表されました。そこでは人を「管理」するのではなく「資本」と捉え、人材戦略を経営戦略と紐づける重要性が説かれています。さらに、令和4年8月には政府が「人的資本可視化指針」を示しました。開示分野の1つには「エンゲージメント」が含まれているなど、エンゲージメントやモチベーションといった従業員の内面を重視した経営は、世の中に浸透しつつあります。

「NALYSYS」が紐解く課題とは

日本の経済成長率が停滞しているなか、少子高齢化社会への突入も相まって、労働力不足や生産性の低下が深刻な課題となっています。

 

国民の豊かな暮らしを実現するためには持続的な経済成長が不可欠です。経済が成長することで、雇用が生まれ、所得が増え、さまざまな社会サービスへの投資も可能になります。

 

今の日本のような状況下では一人一人の労働生産性を向上していく必要があり、業務における非効率を減らしたり、組織や個人のパフォーマンスを最大化させたりする必要があります。

 

レバレジーズでは、その点に着目し「NALYSYS」を開発。2024年1月に「NALYSYSモチベーション管理」や「NALYSYS労務管理」をリリースしました。今後は、HR領域全般の課題を「NALYSYS」というプロダクトで解決し、日本を再び世界で戦えるような国へと変革させていきたいと考えています。

 

※1: 総務省「令和4年 情報通信に関する現状報告の概要」

※2:労働生産性の国際比較2023

※3:経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~ 人材版伊藤レポート ~」

 

従業員の性格や価値観を理解し、“社内のミスマッチ”を無くす

「NALYSYS」はどのようにして誕生したのでしょうか?

もともとは、代表の岩槻さんが「採用」「生産性」「離職」等に課題を感じていたことが、この事業の始まりです。

 

ディスカッションを重ねていくうちに、「これらの課題解決をすることは、日本が抱えている社会課題の解決につながるのではないか」となり、そこから本格的に事業化に向けて調査を開始しました。そして、これまでのレバレジーズで培ってきたノウハウを最大限活用することができると判断し、「NALYSYS」が誕生しました。

 

「NALYSYS」とは、analysesとSYSTEMを掛け合わせた造語で、「分析のチカラで、社会に新たな仕組みを。」という想いが込められています。

 

「NALYSYS」というマスターブランドのもと、人事総務領域に広く展開を予定していて、現在は、「NALYSYS労務管理」「NALYSYSモチベーション管理」というプロダクトをリリース済です。

すでにリリースされている2つのプロダクトのうち「NALYSYSモチベーション管理」には大きな特徴があると聞きました。どのような点でしょうか?

NALYSYSモチベーション管理」の最大の特徴は、実証済みの理論に基づいて従業員一人ひとりの性格やモチベーションを可視化し、モチベーション維持につながる一連のプロセスを効率的に実行できる点にあります。

 

リモートワークが普及した近年、社員のモチベーション維持施策が重要視されています。適切なモチベーション管理によって、従業員のやりがいと会社の離職防止・生産性向上をもたらすためには、「データ収集→可視化→課題抽出→施策検討→実行→効果検証→改善」のプロセスが不可欠です。

 

しかし、このプロセスを自力でおこなうには多大な労力を要します。そこで「NALYSYSモチベーション管理」は、「働きがいのある会社 若手ランキング大規模部門」で2年連続1位を受賞したレバレジーズが、長年にわたり実証してきた理論やノウハウに基づき、このプロセスを無駄なく実現できる仕組みを提供しています。

そうなのですね。実証済みのノウハウや理論なので、精度や実用性が高いということですね。

はい、そのとおりです。「NALYSYSモチベーション管理」では、レバレジーズで実証済みのノウハウや理論が詰め込まれたプロダクトであるため、モチベーション向上策の精度と実用性が高くなっています。

 

また、「NALYSYSモチベーション管理」の最大の目的は、従業員と会社の双方にとって不本意な離職を防止することです。

 

最近さまざまな方と話すなかで、若手従業員の「びっくり退職(※4)」が増加しているように感じています。現代のビジネス環境は、急激な変化や不確実性の高い状況が当たり前となった「VUCA時代」に突入しています。AIの急速な進化、DX推進、新型コロナウイルスの蔓延など、目まぐるしく環境が変化しているのです。

 

そんな環境や時代だからこそ、キャリアに対する不安を抱える若手従業員も少なくはありません。また、あらゆる情報にアクセスできる時代になったからこそ、理想的な働き方をしている人の姿やイメージを目にする機会が増え、現状とのギャップをより感じてしまう人が多くなったと思います。そのような状況下で、職場への小さな不安や不満が蓄積していき、最終的には退職につながります。

 

このような転職事例は、事前に食い止められるものが多いのも事実です。実際に、レバレジーズでは、若手の働きがいを高め、不本意な離職を防ぐため、さまざまな施策を実行してきました。試行錯誤を重ね、紆余曲折を経てきたからこそ、精度と実用性が高い効果的なプロダクトを開発することができていると考えています。たとえば、離職の原因の1つに「働きがい」がありますが、レバレジーズでは働きがいを感じることができる環境をつくることで不本意な離職を防いできた結果、GPTWが主催する「働きがいのある会社若手・女性ランキング」で2年連続第1位を獲得することができました。

※4:優秀な今後を期待される社員が、突然退職してしまうという事象

生み出したのは、まったく新しい指標

開発からリリースまでは、スムーズだったのでしょうか?

いえ、決してスムーズではなかったです(笑)

 

というのも、事業の構想からリリースまで3年以上経っていまして……。

 

新規事業かつレバレジーズグループでも初のHR系SaaSプロダクトの開発ということもあり、社内に知見を持っている人物がほぼいない状態からのスタートだったんです。

 

最初に、開発メンバーのみをアサインして、経営企画室の力も借りながら、市場や競合調査・分析などをおこないプロダクト開発を進めました。

今回新たに指標を生み出したとお聞きました。大変なことも多かったと思います。

そうですね。その新たに生み出した指標というのが、「NALYスコア」というモチベーションのスコアを表すものになります。

 

この基となるロジックは、社内で活用されていたモチベーション管理の手法を参考にしています。プロダクトとしてより効果的に活用してもらえるように、そのロジックに基づいた運用方法の構築や、スコアリング部分に変更を加えています。

 

ただ、これらの開発をしていく過程で紆余曲折あったんです。

 

プロダクトのベースとなっているのは、現場で実際に運用されている「生のデータ」です。そのため、現場で実運用している人々の意見が非常に重要です。

 

開発過程では、社内にあるデータベースを基に指標のデモを作成し、社内の関係者からフィードバックをもらったうえで、繰り返し改善を重ねてきました。

 

何度も何度も改善サイクルを回し、現場の関係者の確認を経ながら、徹底的にクオリティを高めていく作業をおこないました。さまざまな方に協力いただく必要があったので、かなり骨の折れる作業でしたね。

 

このような地道な過程を経て、「NALYSYS」が完成したのです。現場の「生のデータ」と「声」なくしては、「NALYSYS」の誕生はあり得なかったと思っています。

さまざまな過程を経て「NALYSYS」が誕生したのですね。今後、改善していきたい課題はありますか?

そうですね、まだリリースしたばかりなので大小さまざまな課題があるのは事実です。

 

「NALYSYS」をよりよいプロダクトにするために、PDCAを高速で回していきます。そのうえで、組織体制がまだ固まっていないので、そちらを重点的に整えていきたいですね。

 

たとえ、優れたプロダクトを開発していても、使われなければ意味がありません。一人でも多くのユーザーに使ってもらうには、高品質であることは大前提ですが、そのほかマーケティングや営業力も必要不可欠だと感じています。

 

今後より一層の「NALYSYS」というプロダクトの磨き上げと合わせて、どのようにマーケティングとセールスを強化していくかが課題です。一人でも多くの方に「NALYSYS」を使っていただき、生産性の高い組織を1つでも多く生み出んでいきたいです。

 

プロダクトのリリースからそんなに日も経っていないので、まさにスタートアップ企業のような環境で毎日が刺激に満ちています。そうした状況だからこそ、プロダクトとビジネスの両面で日々成長できることが醍醐味で。組織の能力を最大限に活用しながら、今後の体制強化に取り組んでいきます。

「NALYSYS」が見据える未来とは

今後について教えてください。

私たちは、「Better work, Better life.」の実現、つまり働く人々一人ひとりがモチベーション高く働き、よりよい生活を送れる社会の実現を目指しています

 

人口減少が進行するなかで、企業は人材を経営の最重要資源と位置づけ、「人的資本経営(※5)」に注力する必要に迫られています。よって多くの企業は従業員を人的資本と捉え、さまざまな形で投資をおこなうことで付加価値の創出を目指しています。このような状況下で、限られた人材から最大の成果を引き出すにはどうすればよいか。また、働き方改革の潮流を受けて、従業員のワークライフバランスやウェルビーイングをどのように実現していくかが、大きな課題になっています。

 

私たちは、そうした課題に対して「NALYSYS」を通じて貢献・解決していきます。このプロダクトを磨き上げ、人材の能力の最大化を後押しし、活力ある社会の実現に貢献していきたいと考えています。

※5:人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方

 

Read More
こんな記事も読まれています