技術を追い求めていた僕が事業会社に入社した理由
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今回取材したのは、アドテク系企業のバックエンドエンジニアからレバレジーズへと転職した前原さんです。前原さんは技術寄りからプロダクト寄りのエンジニアへと転向。その理由は「技術を誰かの役に立つことに使いたい」という想いでした。(ライター:飯野)
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前原(Maehara)
システム本部 レバテック開発部 基盤システムグループ鹿児島大学大学院で工学領域を学び、2019年にアドテク系の企業に入社。バックエンドエンジニアとして広告配信システムの開発に携わる。2022年6月、ユーザー思考を大切にしたいという想いからプロダクト寄りの技術者へと方向転換し、レバレジーズに転職。現在はIT専門職のプラットフォーム「レバテック」の業務管理システムのマイクロサービス化に携わっている。 趣味は、LoLのe-sports観戦。
技術を極める道を選んだファーストキャリア
まずは現在の仕事内容について教えてください。
レバテックの業務管理システムのマイクロサービス化に携わっています。具体的には、バックエンドとして詳細設計から実装までを担当し、サービスの開発をしながらメンバーの技術的サポートをおこなっています。
現状のシステムには長年の改修の積み重ねが原因で認知負荷が高さや、改修スピードの低下などの問題があります。そこで、機能を整理して一部を切り出すことで、今後のプロダクトの成長に耐えうるシステムの構築を進めています。開発ではユーザー思考を常に意識し、システムの拡張性を担保するために負債の要因を言語化して、取捨選択をおこなったうえで最適な選択をすることを心がけています。
なるほど。前職ではどのような仕事をされていたんですか?
アドテクのDSPの広告配信システムでバックエンドをしていました。具体的には広告効果を最適化するためのアルゴリズムの実装やデータ分析のための基盤構築です。
そもそも広告業界に入ったきっかけは、プログラムの高速化に興味をもちその領域を極めたいと思ったことでした。
大学院では機械学習と数理最適化を扱っている研究室に所属していて、時系列データの異常検知の研究をしていました。その研究の際に、データの前処理を高速化するためにプログラムを書いていたことから高速化に興味をもち、広告業界に入りました。
技術を「誰かの役に立つこと」に使いたい
技術寄りの会社からプロダクト寄りの会社へ転職されたわけですが、なぜ畑の違う領域へ進もうと思われたのでしょうか?
技術を追い求めた「その先」が見えなくなってしまった、というのが大きいです。技術に没頭すること自体は楽しかったのですが、そもそも技術力を向上させたかった理由は誰かの役に立ちたかったからなんです。
そのために「ユーザー視点を大切にする開発」と「未完成な組織で0から価値を生み出せる力」の大きく2つの要素が必要だと考え、転職を決意しました。
前職では、広告業界の性質上どうしてもCTRやCPAなどのわかりやすい数字に目が向きがちで、かつユーザーの価値向上を実感しづらかったんですよね。自分の技術を磨くのは楽しかったのですが、何のために技術を磨くのかを改めて考えた結果、「もっとユーザーのために技術を使いたい」という気持ちが強くなりました。
そうなのですね。ユーザー思考を重視して仕事をしたいと思ったきっかけはありますか?
すごく幼稚なきっかけで恥ずかしいのですが、Twitterで流れてきた動画で、ある大学生が身体が不自由な人のためにロボットを作り、そのロボットを操作して料理を作る動画を見て「技術ってすごいな」と思ったのがはじまりです。それから「自分は技術をどう使いたいか」と考えたとき、誰かの役に立つことに使いたいと思いました。自分が学生時代に「技術を極めたい」と思ったのも、高い技術力があれば解決できることがあると考えたからなんです。
今は、自分で1からサービスを作れるような技術スタックが欲しいと思い、Web系に進むことにしました。高い技術に特化するというより、小さくても素早く確実にモノを作れるようになりたいと思ったんです。
なるほど。数ある企業のなかからレバレジーズを選んだ理由は何ですか?
「事業展開の方針」と「組織」の2つの理由があります。
まず「事業展開の方針」については、参入している領域の幅広さと、非上場だからこそ投資先を自由に選定できるという点に魅力を感じました。
転職活動を始めた当初は、レバレジーズに対して「人材の会社」というイメージを強く持っていたのですが、人材以外にもさまざまな成長産業に投資をしていることを知りました。そして参入した市場も「社会課題の解決」を軸に選定していて、非上場のため会社が必要だと思うところに集中的に投資できる資本力に魅力を感じました。この事業展開の方法は、自分が「世の中のためになる仕事」をできるかどうかを左右する大きなポイントだと思いました。
そして「組織」は、レバレジーズの開発組織が未完成でありながらも、同じ志をもった社員が集まっているという点です。この要素が揃っていれば、強い組織になっていくと感じました。そして未完成だからこそ、「0から価値を生み出す力」を養えるとも思ったんです。
前職の経験から学んだことですが、「開発力のある優秀なエンジニアがいること」と「ユーザーのための開発ができること」って全然違うんですよね。前職は「プログラミングスキルが高い」という点ではすごく優秀な人が多かったのですが、みんな別々の方向を見ていて組織としては弱かったように思います。そういった環境で働いていたので、強い組織をつくっていきたいという気持ちが少なからずありました。
ユーザーのための開発をするには「なぜこの開発をおこなっているのか」を開発側がしっかりと経営層に伝える必要があります。なぜなら開発側が「つくっただけ」ではユーザーに届かないからです。つくったものをしっかりとユーザーに届けきることが必要であるため、同じ目的に向かって進むことができる組織が重要であると思っていました。
レバレジーズは同じ志を持った人が多く、働くうえでのモチベーションになりました。全員が「ユーザー目線を持ってつくること」を意識していて、自分にとって居心地が良さそうだと思いましたね。チームの全員が組織の課題を理解していて、かつそれを変えていきたいと思っている。そういった環境は、当たり前のようで貴重だと思います。
なるほど。では、完全に技術寄りの会社は見ていなかったのでしょうか? 違うプラットフォームに行く道もあったのではないかと思いまして。
実は結構有名な企業からも内定をもらっていて、レバレジーズに出会う前は他社に入社しようと思っていました。当時その企業はDX CriteriaというDX基準を導入して、そこから開発体系をどんどん良くしていったという実績がありました。組織的に成功しているんだろうなと思いましたね。
でも最終的にそちらを選ばなかった理由は、「すでに完成している組織」だったからです。その会社で成功体験を肌で感じてくることもいいかなとは思ったのですが、「未完成の状態から自分でつくりあげていく」という経験をしたい気持ちが勝ったんですよね。
なぜなら、開発体系に関する問題というのは、ある程度どこにでもあるものだと思っていて。だったら、その問題を解決していける方が市場にとって価値が高いのかなと考えました。なので、誰かがつくった「良い環境」ではなく、自分が今後つくりあげる余地のある「未完成な環境」に行って、現状を良い方向に変えていける人材になりたいと思ったんです。
妥協しない品質へのこだわり。1からプロダクトをつくれる技術者を目指して
実際に入社してみてどうでしたか?
前職とは技術スタックがまったく違いますし、クラウドも初めて触りましたし、新鮮なことが多くてとても楽しいです。定期的に開催している勉強会では、開発メンバー全員が自社の課題に対して共通認識を持っていることを改めて実感しました。同じ課題に対してみんなで向き合って「もっとこうしたらいいのでは?」というような前向きな話ができるのは嬉しいですね。指摘や改善は、課題を認識して初めて活きてくるものだと思うので、やりがいを感じています。
前原さんが仕事において大切にしていることを教えてください。
そうですね。品質へのこだわりは人一倍強いかもしれません。たとえば、サービスに何か不具合が起きたとき、根本的な問題を解決することを大切にしています。たとえば、障害が起きたときにパッと速く直すことも大事なことですが、数年後のことを考えるとその原因をしっかりと突き止めて二度と同じ事象が起きないようにしないと根本的な問題解決にはならないと思うんです。
そのために、具体的に何が問題だったのかを言語化することも大切にしています。これは新人のときの苦い経験がきっかけです。当時、障害を経営陣に報告する際、障害を言語化できなかったことが原因で「確認が足りなかった」「テストが充分ではなかった」などと抽象的な報告しか挙げられませんでした。抽象的な報告だと開発以外のところでのPDCAが回っていかないですし、結果的により良いサービスづくりに繋がりません。「何が問題になっていて、開発側としてはどこにつまづいていて…」というファクトを提示できて、初めてユーザーのためのサービスづくりができると思うんですよね。
僕たちの開発は、サービスを使うユーザーのためにあります。そのために、しっかりとユーザーまで届けきる技術力が必要です。その技術力というのは、「根本的な問題の特定」と「問題を言語化して改善していく力」だと思っています。
これからどんなキャリアを歩んでいきたいですか?
直近2〜3年は技術力の向上に注力したいと思っています。畑違いな領域への転職ということもあり自分の力不足を痛感しているので、まずは知識を蓄えて自分のものにしていきたいです。その後は、プロダクトを改善していける人材になるために蓄えた技術を活かしていきたいです。前にも少し話した通り、未完成の組織を良い方向に変えられるようになりたいと思っています。十数年後には、1からプロダクトをつくれるエンジニアになっていたいですね。