メーカー出身の開発者がMLOpsの責任者に。開発スピードは自身の成長に比例する。

中途

事業 / サービス

今回取材したのは、主に機械学習を活用してサービス拡大に寄与するMLOpsチームに所属する新城さんです。新城さんは、メーカーの組み込みソフト開発から機械学習エンジニアにキャリアチェンジ。世の中でも前例の少ないMLOpsの導入を主導しています。「良いサービス・プロダクトをつくれる開発者になりたい」と語る新城さんがレバレジーズを選んだ理由とは。前職とは異なる領域へ挑戦を決めた新城さんに、決断の経緯や現在向き合っているミッションについて聞きました。(ライター:松本)

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Profile
  • 新城(Shinjo)
    システム本部 テクノロジー戦略室 MLOpsチーム

    2019年にメーカー系企業へ開発職として新卒入社。学生時代に音響信号処理の領域を研究していたことから、前職ではその経験を活かし組み込みソフト開発に従事。入社から3年後、成長スピードを速めたいという思いから2022年にレバレジーズに転職。MLOps導入を主導し、現在は社内で初の試みとなる機械学習の運用基盤の構築をおこなっている。趣味は、ランニング、映画鑑賞。

 

\新城さんのTech Blogはこちら/

tech.leverages.jp

ハードウェアの組み込み開発から機械学習エンジニアへ。まったく異なるキャリアへの挑戦

まずは現在の仕事内容を教えてください。

社内で初の試みとなる機械学習の運用基盤の構築をおこなう「MLOpsの導入プロジェクト」を主導しています。具体的には、IT専門職の人材プラットフォーム「レバテック」が運営するサービスで、ユーザーに最適な求人を提案するレコメンド機能の開発などをおこなっています。データサイエンティストがつくった機械学習モデルを活用してサービス基盤を整えることで、これまでキャリアアドバイザーの力に頼っていた業務を、AIがサポートできるようになります。

前職ではどのようなことをされていたのですか?

前職はメーカーで、ハードウェアを動かす組み込みソフトの開発をおこなっていました。前職を選んだ理由は、もともとものづくりが好きだったことと、大学時代に音響信号処理の領域を研究していた経験を活かせそうだと考えたからです。今のWebサービス開発とはまったく異なる領域でした。

メーカーで経験を積まれていたとのことですが、何がきっかけで転職を考え始めたのでしょうか?

メーカーで3年ほど働いた頃、自身の成長スピードの鈍化に次第に焦りを感じるようになりました。その背景には、ハードウェア開発のリードタイムが長く、PDCAを素早く回せないという問題がありました。

 

ソフトウェアの世界でおこなわれているようなユーザーの声を細かく拾いながら随時サービスをアップデートしていける開発体制とは異なり、ハードウェアの世界では一度市場に出た製品をアップデートするのが難しいため、初回リリースのタイミングで完璧な状態にする必要があります。そのため製品が市場に届くまで、前職では開発期間の長い製品だと2〜3年ほどの月日を要していました。結果的に自身のトライ&エラーの回数が少なくなってしまい、成長速度が遅くなるのではないかと危機感を持つようになり、転職を決意しました。

組み込み開発から機械学習エンジニアへのキャリアチェンジはまったく別の職域への挑戦だと思いますが、なぜそのような選択をされたのでしょうか?

もともと興味のあった機械学習の領域でスピード感を持って自分の技術力を高めたいと考えたからです。機械学習の領域は、学生時代から音声・音響信号処理の研究で人工知能の分野を勉強しており、社会人になってからも機械学習関連のコンペティションに参加するなどして興味がありました。

 

また前職では組み込みソフトの開発がメインでしたが、ある製品の開発担当になった際にクラウドインフラの領域にも関わる機会がありました。前述のきっかけで転職を考えるようになり、次の環境では興味があった機械学習の分野と前職で知見を得たクラウドインフラの分野両方に携われるMLOpsのポジションを一番魅力的に感じました。

 

最終的に自分がやりたいことを考えると、別の分野へキャリアチェンジしてでもチャレンジするべきだと思いこのような選択をしました。

さまざまな企業のなかから、レバレジーズへ転職を決められた理由を教えてください。

ユーザーの声を取り入れながらアジャイルに開発ができるスピード感や、若いうちからスキルを高められそうな裁量権のある環境に惹かれたからです。

 

選考のなかで「レバレジーズのエンジニアの組織はまだ未完成で、これから組織をつくっていくフェーズ」という話を伺い、組織の成長とともに自分も一緒に成長できそうだと思いました。すでに完成された組織で働くよりも、これから組織をつくり上げていくフェーズの方が課題解決の当事者になれると思ったからです。

 

また「プロダクトを通して業界全体をより良い状態にしていく」と、一つ上の視座でサービスづくりを考えていた点も魅力に感じました。「技術力を磨くことは市場にとって価値のあるサービスを届ける手段にすぎない」という考えに強く共感したため、入社することを決めました。

実際に入社してみていかがですか?

業務内容がガラッと変わったという点では、日々新しいスキルをキャッチアップしていく必要があるため大変です。しかしその分、大きなやりがいを感じています。
今のチームはアプリケーションエンジニア、データサイエンティストなど多彩なスキルを持つ方々が集まっていて、刺激的で楽しいですね。

 

また入社前に聞いていた通り、エンジニア組織はまだまだ未完成ではありますが、自分自身で工夫したり一緒にルールをつくったりしていくことにも携われるのはおもしろいです。スキルアップの幅も広がりますし、エンジニアとしての可能性が広がるなと感じています。

世の中でも前例の少ない、MLOpsの導入に奮闘

現在はどのようなミッションに取り組まれているのでしょうか?

メインの役割としては、レバレジーズグループ全体のMLOps基盤を構築して、機械学習を活用したより多くのサービスを安定した状態で提供し、価値提供の幅を広げることです。具体的なプロジェクト例としては、レバテックに登録してくださったユーザーへ最適なキャリアを提案するために、大量の求人データとスキルデータの解析によって算出された求人を表示するようなレコメンドシステムを、データサイエンティストと協働してMLOpsを導入することで実現しようと考えています。

 

レバレジーズには、まだ円滑に機械学習モデルを運用改善する基盤はなかったため、まずは運用改善をおこなうフローの整備などから始めました。

現在のプロジェクトはどのような難しさがあるのでしょうか?

MLOpsの導入は、社内ではもちろん世の中的にも前例が少ないため、正解がないものを形にしていくことがとても大変でした。レバレジーズの機械学習システムはスタートラインに立ったばかりで、機械学習モデルを一度組み込むとその後の改善がしづらく、成果が出ているかも充分に確認できない状態でした。そこでモデルの改善をおこなうことができる環境を整え、工数を削減し機械学習モデルの改善に積極的に取り組めるような仕組みづくりを目指しました。ただ、このあたりの運用基盤がしっかりと構築されている企業はまだ少なく、現在も手探りで検討・構築を繰り返しています。

 

また、機械学習モデルは「つくって終わり」ではなく、どんどん改善・活用してビジネスの成果につなげていくことが重要です。機械学習をサービスの改善に円滑に取り入れていく体制を構築することは社内でも初の試みであり、今後よりデータドリブンな意思決定ができる組織にしていくための第一歩であるため、責任も大きいです。ただ、多くの関係者を巻き込んで目的とゴールをすり合わせながら進めていくのは大変ですが、このプロジェクトを完遂したときに、関わるすべての人に「MLOpsの基盤があってよかった」と言ってもらえたら嬉しいなと思います。

AI・ヒトの介在価値をMLOpsでかけ合わせ、”関係者全員の幸福の追求”の体現を目指す

何が新城さんのモチベーションになっているのでしょうか?

「AIと人間の共存を体現してみたい」という気持ちは強いです。レバテックのような、求職者への求人提案サービスに機械学習を組み込むことは、「エージェントのマッチングをシステムが代替してしまう」というマイナスな捉え方もあると思います。ですが私は、「代替」ではなく「共存」することでAIとヒトの介在価値が相乗効果で高くなっていくのが理想だと考えています。
まだ自分のなかでも、どちらに何の強みがあるかを細かく分類できてはいないですが、まずヒトが機械学習を活用しやすくするプラットフォームを整えていくことで、この辺りが見えてくるのではないかと思っています。

 

この領域について、世間的にはまだスタートラインに立っていない企業も多いため、この理想を体現できることは価値が高いと考えています。

新城さんが考える理想のエンジニア像を教えてください。

事業ファーストなエンジニアであることです。「どんな事業をつくり、どう拡大していくか」という視点から、逆算して必要な技術を考えられることが大事だと思います。技術はあくまで事業を支える一つの手段であり、エンジニアの立場であっても技術だけではなく事業拡大やユーザーへの価値貢献にも当事者意識を持つことが大事です。また、その事業の成功にはそれを支える高い技術力が必要不可欠です。そのため、結果的に「事業」と「技術」両方の視点を持つエンジニアの市場価値が高くなっていくと思います。

最後に今後の目標ややっていきたいことがあれば教えてください。

まずはMLOpsを社内にしっかりと浸透させ、ビジネス側と協働しながら機械学習を活用したいと思っています。今は基盤をつくっている段階ですが、いずれは基盤づくりだけではなく、基盤をうまく活用できるようなビジネス側を巻き込んだ運用体制も必要となります。しかし技術的にも組織的にも、その知見はまだ足りていないため、Kaggleの機械学習のコンペティション*1に定期的に参加するなど常に最新技術へのアンテナを張っていたいと思っています。 あとはAWSやGoogleなどがMLOpsに関係するサービスを出しているので、それを適切に取捨選択して勉強していきながらレバレジーズの機械学習領域をどんどん発展させていきたいです。

 

*1 企業や研究者から出される課題に対して、エンジニアが技術力で競い合う大会

 

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