レバレジーズ代表・岩槻ってどんな人?
ひと
今や年商1000億円規模にまで成長を遂げたレバレジーズ。2005年の創業からわずか19年で現在の規模にまで成長を遂げました。テレビCMや広告などで、レバレジーズという社名を見かける機会も増えたのではないでしょうか。そんな会社をつくり、現在の規模にまで築き上げたのが、創業者であり代表でもある岩槻です。今回は、そんな岩槻の想いや考え、そして仕事観などにフォーカスしたインタビューをお届けします。(ライター:青江)
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岩槻 知秀(Iwatsuki Tomohide)
レバレジーズ株式会社 代表取締役1980年生まれ。大阪府和泉市出身。早稲田大学社会科学部入学後、大学1年時からIT企業にてエンジニアとしてビジネス経験を積む。大学卒業と同時に、2005年にレバレジーズ株式会社を設立し、グループ会社の取締役も兼務。2024年2月には、経済団体「新経済連盟」の幹事に就任。
社会課題の解決に取り組み続ける
岩槻さんのビジョンについて教えてください。
会社のビジョンがそのまま私個人のビジョンとリンクしています。
そのため、私のビジョンはレバレジーズグループのビジョンでもある「国、業界をまたいで素早くかつ健全に拡大し、参入した業界において最も競争優位性のある会社になる。その為に、人的価値の向上と成果への貢献に全メンバーが努力する」です。
このビジョンを実現するために社員の方と同様に、私自身も日々努力を続けています。
このビジョンを達成させるため、岩槻さんがおこなっていることはありますか。
比較は難しいですが量においても質においても、とにかく誰よりも働き、学ぶことを意識しています。
「企業は、社長の器以上には成長しない」という言葉もあるように、代表である私が社員以上に努力していない会社は飛躍的な伸びを期待できません。ましてや、我々のようなベンチャー企業があぐらをかいて努力することを怠っていたら、あっという間に他の企業に抜き去られてしまう可能性が非常に高いですから。
今後レバレジーズグループが、3000億、5000億、1兆円規模になろうと、社員と同様に私自身も努力を続け、一人でも多くの人々に貢献していきたいです。
経営をおこなってきて、最も大変だったことを教えてください。
体調の関係で数年間リモートでしか仕事ができない時期が今までで一番大変でした。
リモートゆえに、細かい意思決定は現場に委ねていて、大きな意思決定のみ私がおこなっていました。そのため、基本的には報告を聞いて判断するみたいな動きが多かったです。
現場のメンバーが自ら意思決定する機会が増えたことは、良い面もありましたが、中長期的な視点での判断を迫られることも多く、現場が見れないためその判断をしたくても情報が欠落していることがあり、大変でした。
当時のメンバーには感謝していると同時に、「あのときこうしていれば」という後悔もあるのも事実です。
紆余曲折を経て今のレバレジーズを創り上げてこられたと思います。レバレジーズの成長を牽引してきた岩槻さんにとって仕事とはなんでしょうか。
働くことは、社会や他者に貢献することと同じ意味を持つと思っています。
仕事に求められることは、お金をいただきそれ以上の価値をつくりだしお返しすることです。そして、ビジネスを永続させていくためには、顧客に対してより良いサービスを提供し続ける必要があります。つまり、顧客に貢献し続けるということです。
仕事を単にお金を稼ぐ手段だと考えている方もいるかもしれませんが、本質的には他者に貢献することで社会に価値を提供し、感謝されるものが仕事です。だからこそ、どんな仕事でも「利他性」を忘れずに取り組んでいます。
人の役に立ち感謝されるためには、人々のニーズを正しく把握し、適切な形で貢献することが重要です。レバレジーズは、それらのニーズに真摯に向き合い、役に立つサービスを提供し続けてきたからこそ、今の地位を築き上げることができたと自負しています。
そのような考えに至った原体験のようなものはあるのでしょうか。
以前の記事でもお話したベンチャー企業での就業経験もそうなんですが、子どものころに聞いた父親の友人の社長の話も原体験の1つとしてあります。
実は、その話を聞くまでは「お金稼ぎ=悪」と考えていました。しかし、その社長が「本当に顧客のためになることをしないとお金はもらえない。だから、人の役に立ち感謝され、その対価としてお金をいただけることは素晴らしいことなんだよ」と語っているのを聞き、「確かに、そう考えるとお金稼ぎって悪くないかも」と子どもながらに感じました。
みなさんもご存知の通り、顧客にとってメリットのないサービスや商品は、すぐに淘汰されていきます。当然ながら、それらは最終的に顧客が離れていくので対価を得ることができなくなっていきます。だからこそ、「人の役に立つことを愚直に続ける」ということは大切ですし、我々も引き続き社会や他者への貢献を続けていくことが責務であると考えています。
岩槻さんのなかで「仕事とは社会や他者に貢献すること」とのことですが、ご自身のなかで最も貢献できた仕事とはどのようなものでしょうか。
たくさんありますが現状だとレバテックをつくり、当時はまだメジャーではなかったITフリーランスの文化を社会に根付かせることこそが、最大の貢献といえるのではないかと思います。ただ、日本社会全体で見た場合、貢献の余白は多く残っているので、より気を引き締めて頑張らないといけないと感じています。
最終的なゴールのイメージは、ITフリーランスがキャリア選択のひとつとして当たり前になればいいなと考えています。転職が当然の選択となったのと同様に、ITフリーランスとして働くことも当然の選択肢として認識される社会にしていきたいですね。道のりはまだ長いですが、我々ができる貢献を少しずつ積み重ねていこうと思っています。
卓越した仕事をするためには量を投下しなければならない
レバレジーズは新規事業開発や投資に積極的で、なかには岩槻さんのアイデアが事業化されているものも多いと思います。次々に新しいアイデアを思いつくコツなどはありますか。
大きく2つあります。
1つ目は、常に情報のアンテナを張り続けることです。これは当然のことだと思いますが、慣れるまでは大変なことかもしれません。なぜなら、365日24時間寝ているとき以外は事業のアイデアを探すアンテナがたっていないといけないからです。アイデアは、誰かとお酒を飲んでるときや散歩しているときなど、思いもよらないタイミングで思いつくものです。いつどのタイミングで得た情報を、仕事に活かすことができるかわからないですから。
そして2つ目は、世の中のニーズを適切に把握することです。この場合は、マクロとミクロ両方の観点からニーズを把握することが多いです。それらの情報をベースにして、私の原体験に基づくものも含めながら事業化の検討をしていきます。というのも、現在の社会は昔と比べて一見成熟したように見えるかもしれませんが、実は成熟していない部分も多く、生活をするなかで不都合を強く感じる瞬間は私を含めかなり多いと思っています。つまり、この社会に対して不都合を強く感じている部分に、世の中のニーズがあるということです。
たとえば、最近弊社でリリースしたオンライン診療プラットフォームのサービスである「レバクリ」などはまさにその具体例です。実は、このサービスは私の実体験に基づいています。というのも、私自身が慢性疾患である喘息を持っていて、定期的に薬をもらうために20年近く通院を続けています。しかし、毎回同じ薬を処方されることや通院に時間をとられることが非効率だと感じていました。このような経験から、他の人も同じような課題を抱えているはずだと感じ、これらの不を解消できれば多くの人に貢献できるのではないかと考え、サービス開発をスタートさせました。先発サービスはもちろん複数ありましたが、選択肢が増えるほど競争が促進され、より利用者に優しいサービスへと改善されていきますからね。
確かに世の中のニーズや情報感度の高さはかなり大切な要素ですね。つづいて、岩槻さんが多くの人と関わってきたなかで、ビジネスパーソンとして成功している人に共通点のようなものはありますか?
ビジネスパーソンとして、成功している人は例外なく全員、仕事に対して時間を投下しています。
仕事で突き抜けるようになるには、知識と経験が必要となってきます。これらが知恵となりそこに行動をかけ合わせることによって、成果につながってきます。そして、これらすべてのベースとなるのは時間の投下。仕事で突出した成果を出している方は、業界問わず例外なく時間を投下しているのは紛れもない事実です。
あくまで一例ですが、週3日8時間働く方と週5日9時間働く方だったらあきらかに後者の方が伸びるのは間違いありません。量より質が大事とおっしゃる方もいますが、私はある程度の量をこなさなければ高い質を生み出すことはできないと考えています。がむしゃらに取り組んだ先に、効率化など質の重要性に気づき、結果として量を質に転化することができるのでしょう。
昨今働き方改革によって、働くことが悪のように捉えられてしまうこともありますが、ビジネスパーソンとして成功したい方は、「仕事と向き合いがむしゃらに働くのも悪くはないですよ」と言いたいですね。
国や行政と協力しながら社会問題の根本解決に挑む
岩槻さんが社内外問わずに現在関心を持っていることを教えてください。
日本の人口減少の問題に関して強い危機感を持っています。今後はその問題に、より積極的に関わっていきます。具体的には、我々が提供している各種サービスをより一層成長させることと並行し、国や行政に政策提言などをおこなっていきたいと考えています。
この問題に積極的に関わっていく理由は、日本の社会問題の根本原因が生産年齢人口の減少にあると考えているからです。昨今、政府がさまざまな政策を打ち出していますが、劇的に改善された実感が乏しいのも事実です。「いつか改善されるだろう」「だれかがなんとかしてくれるだろう」と傍観するのではなく、関係各所に働きかけ民間の立場から国を動かし、我々ができることをしていきたいと思っています。
最後に、今後の展望や目標を教えてください。
創業時に立てた目標の1つに、「レバレジーズを世界で戦える企業にする」というものがあります。
この目標を立てた背景には、2023年における世界のIT企業の時価総額ランキングで、日本企業がトップ10に1社も入っていないなど、近年世界において日本企業の存在感が弱まってきていることに対して危機感を持っていることがあります。
戦後日本を復興に導き、バブル経済を生み出すことができたのは、日本企業が世界の舞台で戦い続けてきたからこそです。
近年は、世界的な巨大IT企業の台頭によって、日本企業が表立った活躍に陰りが見えるのは事実です。しかし、再び世界で大きな活躍をする日本企業がでるように、我々がその先陣を切っていきたいと思います。
今後のレバレジーズに、ぜひ期待してください。